サブスクリプションとSaaSの違い・料金体系やサービス例を紹介
2024/3/7
サブスクリプションとSaaSのそれぞれの意味や違いについてわかりやすく解説します。
サブスクリプション以外のSaaSの料金体系、SaaS以外のサブスクリプション型サービスについても併せて説明します。BtoB・BtoC問わず、サブスクリプションの導入は一般的になりつつあります。ミニマリズムの普及やコスト削減の重要の傾向により、サブスクリプションは今後ますます「当たり前のもの」になっていくでしょう。
多くのSaaSが、サブスクリプションの料金体系を採用しています。サブスクリプションはSaaSとの相性が良く、サービスの提供会社にとっても、ユーザーにとってもメリットがあるからです。では、SaaSとサブスクリプションの相性が良いのはなぜでしょうか。
今回はSaaSとサブスクリプションの違いやそれぞれの意味をおさらいしたうえで、SaaSとサブスクリプションの相性が良い理由を解説します。
そもそもサブスクリプションとSaaSは、どのように違うのでしょうか。「SaaS=サブスクリプション」と思っている人も多いかもしれません。
両者の違いを簡単に説明すると、「SaaSはソフトウェアの提供形態の1つで、サブスクリプションはサービスの料金形態の1つ」となります。それぞれの意味と違いについて、詳しく解説します。
サブスクリプションとは、「月額制」のことです。毎月同じ料金で、決まった内容のサービスを提供する料金形態がサブスクリプションといえます。通信量や利用した時間などで料金が上下することはなく、プランを変更するか提供会社による価格見直しのない限り、月額料金は変わりません。
一般的なサービスでは、「Amazonプライム」や「YouTube Premium」などが代表例として挙げられます。
SaaSとは「インターネット経由で利用できるソフトウェア」のことです。インターネット環境さえあれば、ブラウザや専用アプリケーションを通して、いつでも・どこでも同じシステムにアクセスできます。離れた場所にいるメンバーとも、リアルタイムで情報を共有したり、共同作業したりできるのがSaaSの主なメリットです。
「Software as a Service」を略したものがSaaSであり、直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」となります。インストール型のように「製品を購入」するのではなく、「料金を支払っている間だけ利用できるサービス」としてとらえるとわかりやすいでしょう。
多くのSaaSがサブスクリプションで提供されているのは、両者の相性が良いからです。その理由はたくさんありますが、主に次の要因から、SaaSとサブスクリプションの親和性が高いといえます。
【サブスクリプションとSaaSの相性が良い理由】
月額制にすることで、安定的かつ継続的な収益が得られる
まずはサービスをリリースし、月額料金で収益を得ながらブラッシュアップできる
社会情勢や機能改善によっては、既存のビジネスでは考えられない急成長も可能
無料プランや低価格プランで導入ハードルを下げることで、顧客の獲得と育成が容易になる
それぞれの項目については、こちらの記事で詳しく解説しています。これらの要素は「提供会社にとって、SaaSというビジネスモデルにどんなメリットがあるのか」にもつながるものです。
「SaaS」のビジネスモデルの本質とは?4つの成長戦略も解説
多くのSaaSはサブスクリプションで提供されていますが、中にはサブスクリプション以外の料金体系を採用したもの、サブスクリプションとほかの料金体系を組み合わせることでアップセルを狙っているものもあります。サブスクリプション以外のSaaSの料金体系を4つ紹介し、それぞれのメリットや提供会社の戦略について深掘りします。
フリーミアム(Freemium)とは、無料を意味する「Free」と割増を意味する「Premium」を掛け合わせた造語です。簡単に説明すると、「基本機能は無料で利用できるが、それ以上の機能を利用するには料金が発生する」という料金体系です。
サブスクリプションと組み合わせられていることも多くあります。SaaSにおいては、次のようなアップセル(顧客に対して、より高価な商品へのアップグレードを図り、総売上を伸ばしていく手法)戦略を取ることが多いです。
【SaaSでよくあるアップセル戦略】
STEP1.無料プランで新規ユーザーを獲得する
STEP2.無料プランから有料プランへとアップグレードで収益化する(フリーミアム)
STEP3.有料プランのユーザーから、毎月安定した収益が得られる(サブスクリプション)
STEP4.企業の規模拡大によるユーザー数増加、オプション機能の追加などによる客単価UP(アップセル)
機能の複雑なものや初期設定の難しいものを除き、ほとんどのSaaSでこの戦略が取られています。例えばビジネスチャットの「Salck」や、タスク管理ツールの「Trello」などがわかりやすい例でしょう。
年額制は「サブスクリプションの1年間バージョン」と考えるとわかりやすいでしょう。利用料金を月ごとにではなく、1年ごとに支払う料金体系です。
サブスクリプションのSaaSには、「少しお得に使えるプラン」として年額制も提供しているものがあります。「月額制なら1ヵ月あたり1,000円で利用できるものを、年払いプランを選ぶことで1年間で10,000円、月あたり約833円で利用できる」というイメージです。
ユーザーにとってはコスト削減の、提供会社にとっては途中解約のリスクや料金徴収の負担軽減のメリットがあります。
従量課金制とは、「使用量に応じて料金も増えていく」料金体系です。SaaSではありませんが、データ通信量に応じて使用量が変動するタイプの携帯料金をイメージするとわかりやすいでしょう。
SaaSではユーザー数や利用した回数などに応じて料金が変動します。例えば「1ヵ月の間に打刻した人数分だけ料金が発生する勤怠管理システム」や「メッセージの送信数に応じて料金プランが自動で変わるSMS自動送信サービス」などが挙げられます。
主にビジネスの世界で使われるSaaSには、どこか難しいイメージがあります。概念的な説明だけでは、SaaSとサブスクリプションの関係についてよく理解できない方もいるでしょう。そこで、SaaS以外のサービスを例にとり、サブスクリプションについてよりわかりやすく解説します。BtoBだけでなく、多くの人がすでに利用しているBtoCサービスも例として挙げるので、イメージしやすいでしょう。
PaaS(Platform as a Service)は「サービスとしてのプラットフォーム」を意味する言葉で、システムそのものではなく、システムの開発環境や動作環境などのプラットフォームを提供するサービスです。SaaSと同じようにサブスクリプションの料金体系が多く、プランごとに利用できるデータ量や機能が異なります。
代表例としては「AWS(アマゾン ウェブ サービス)」や「GCP(Google Cloud Platform)」などが挙げられます。
IaaS(Infrastructure as a Service)は「サービスとしてのインフラストラクチャ」を意味する言葉で、システムやプラットフォームの基盤となるインフラを提供するサービスです。具体的にはCPUやストレージ、サーバーなどをクラウド環境で提供します。
SaaSと異なり、ほとんどのIaaSが(仮想的な)プライベート環境で提供されるため、安全性が高いです。サービス例としては「レンタルサーバー」が代表的で、サーバーのトラフィック量に応じて料金が変動する「従量課金制」が採用されています。
サブスクリプションで提供されるBtoCサービスの代表格として挙げられるのが、「ビデオオンデマンド」でしょう。「Amazonプライム」や「Netflix」などが有名です。これらのサービスでは毎月決まった料金を支払うことで、映画やアニメなどのさまざまな映像作品をインターネット経由で視聴できます。
料金体系を見ても、サービスの提供形態を見ても、本質的にはSaaSと同じ仕組みといえるでしょう。「SaaSやサブスクリプションについて、いまいち理解できない」という方は、「ビデオオンデマンドのソフトウェア版がSaaS」と考えるとわかりやすいかもしれません。
BtoCの市場では、サブスクリプションの「ミールキット」が人気を集めるようになりました。ミールキットとは、毎月決まった料金を支払うことで、食材とレシピが自宅に配送されるサービスです。買い物に行かなくとも、短時間で自炊ができるとして注目されています。
新しい生活様式の普及による外出自粛、共働き世帯の増加による家事の時短などの要因から、ミールキットへの注目度は急速に高まりました。社会の状況やニーズによって市場が大きく変動したり、新しいサービスが一気に広まったりするところは、SaaSと通じるものがあります。
サブスクリプションで提供されるSaaSにおいて、顧客との関係構築は最重要ポイントです。顧客からの信頼が得られなくては途中解約につながり、料金プランのアップグレードも難しいでしょう。不信感を持たれなかったとしても、より良いサービスの普及や、信頼できる競合他社の登場により、「乗り換えられてしまう」かもしれません。
特に、商品やサービスそのものの差が小さい場合、「顧客との関係性」や「企業としての信頼感」が選定の決め手となります。使っている間中料金が発生するサブスクリプションだからこそ、信頼できる会社やシンパシーを感じる企業にお金を払いたいと思うものです。「人」を相手にしたビジネスである以上、それは個人として利用するBtoCのサービスでも、社会的な組織として利用するBtoBのSaaSでも変わりません。
SaaSやサブスクリプションのサービスを提供する企業は、サポートやアフターフォロー、SNSやオウンドメディアによる情報発信を充実させるべきです。裏を返せば、そのようなポイントに力を入れている企業を探すユーザーは、SaaSやサービス選びに失敗しないといえます。
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